タコの卵

どこまで我慢するのが身近な恐怖なのか

大阪のトッポギと沖縄のトッポギ

トッポギは果てしない辛さを教えてくれた。


二十歳の頃、家出をし大阪は宗右衛門町でキャバクラのボーイをしていた。
保健所や身分証明書もない僕をすぐ採用してくれたキャバクラには感謝している。
ミナミの繁華街。日本でも有数の飲み屋地帯は沖縄出身の僕にとってネオンのお祭りだった。
毎日が那覇まつり状態。人混みの究極。活気あふれる街が好きなのですぐに居心地が良くなった。


キャバクラの仕事は想像以上に辛かった。


履きなれてない革靴で店内を走り回るので足の皮がめくれ毎日水ぶくれ状態だ。
仕事が終わったあと家に帰って風呂に入るのも嫌なレベルで足が痛かった。とにかく慣れるまで地獄だった。


インカム無線機も辛かった。
店内は会話やBGMでうるさい中、イヤホンの声に集中しないといけない。


「○○番テーブルにビール!!!」
「○○さんを○番テーブルに15五分後」
「つめしぼ!!!!」

基本的にキャバクラはインカムでやり取りするので必死に聞き取らないといけない。
聞き取れなかったら再度聞き直す。そのたびに対応が遅れるため怒られる。
パチンコ屋も同じ感じだろう。騒がしい店内の中、インカムは辛い。


他にも色々辛いことも多かったが、その分給料が多いので楽しかった。
キャバクラの面白い話はいっぱいあるので色々書いていきたい。


そんなキャバクラボーイ生活もなれた頃。
仕事終わり店長に焼肉を誘われた。
焼肉が大好きな僕は喜び、急いで店内の掃除を終えた。
その日はちょうど店自体も早く閉める日で、まだ夜中の3時頃だった。


ミナミの3時はまだまだ明るい。ウキウキしながら雑居ビルを通り抜け怪しい地下の世界に入った。
お店の名前は韓国語で書かれているのでわからないし、メニューも韓国語で店内も韓国語が飛び交っている。
全然韓国に馴染みのない僕はドギマギしながら初めての異国文化にワクワクした。
テーブルに座るとドカンと大きいヤカンが運ばれた。
コップにヤカンに入ったドロドロの白い液体を注ぐ。正直言って飲みたくない見た目だ。

 

JINROマッコリ 1000ml×5本

JINROマッコリ 1000ml×5本

 

 


韓国のお酒でマッコリというものらしい。
常温でドロドロしたお酒は不思議と甘く、ガバガバ飲めた。ちなみにデカイヤカン一個で600円ぐらいだったはずだ。恐ろしく安い。本当はお酒じゃないかもしれないけどとにかくガブガブ飲める。


初めてのマッコリを楽しんでいると何肉かわからないけど、とにかく薄い肉が大量に運ばれてきた。
山盛りの肉!!!
嬉しすぎる。一枚一枚などと言わずにまとめて掴んで焼きまくる!
薄いのですぐ焼ける!マッコリを飲む!焼く!食べる!マッコリ!


幸せのループに入りながら一段落した所でトッポギがきた。


トッポギとは韓国の餅料理で細長い餅を甘辛く煮詰めた料理だ。


うへー!トッポギとか初めて食べるぜ!お酒も入ってご機嫌な僕はトッポギを口に放り込んだ。


ぎゃあああああああああああああああああああ!!!


辛すぎる!!!経験したことない辛さが!いや、辛いというより痛い!口が、舌が痛い!
急いでマッコリを飲みまくる。甘いマッコリがやけに不味く感じる!!
トッポギとはここまで辛いのか。世界で一番辛いんじゃあ無いのか?恐る恐る、もう一個を小さく食べてみても激辛だ。恐ろしいぐらいに辛い。辛さ世界チャンピオンかもしれない。
甘辛く煮詰めたっていうが、どこにも甘はない。辛しかない。後を引く辛さ……なんてもんじゃなく、もう食べれない辛さだった。酔も吹き飛び追加で韓国焼酎を頼んだ。
これまた甘い。韓国のお酒は基本的に甘くて料理は辛いのか?


チャミスルと呼ばれる焼酎はストレートでちびちび飲む。これが甘い。マッコリほどストレートな甘さではないが、甘くて美味しい。好きな焼酎だ。こいつをちびちび飲みながらトッポギ以外をつまみたい。

 

 

 

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現在僕は沖縄の韓国料理屋にいる。

 

tettyagi.hatenablog.com

 


あのトッポギを食べるためだ。
10年以上食べてないトッポギ。思い出しただけで喉が焼けるように辛い。

緊張しながらもトッポギを注文し、チャミスルもいただく。

なぜならマッコリが高いからだ。あのドデカイヤカンに入ったマッコリと違って上品な感じがあるマッコリ。ヤカンマッコリでいいのに……と思いながらも仕方ないとあきらめる。ちなみにマッコリの相場はいくらなんだろうか?僕が大阪で飲んだのは激安の部類だろうとは思うが。

 

あぁ、またあの辛さだったらどうしよう。しかし、あの辛さをもう一度経験するのも当時を思い出していいのかもしれない。

あーでもないこーでもないをしているうちに

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思っていなかったトッポギが届いた。

 

!?!?

 

僕が食べたトッポギはもっとドギツイ真っ赤で本当に灼熱地獄をお皿で再現しているような……。ええい。実際は辛いかもしれない。食べてみよう。

 

恐る恐るトッポギを摘んで小さくかじる。

 

 

辛い!!!!

 

けど、普通に辛い。あれ???目が覚めるような刺激感はない。むしろ甘辛く煮詰めた味がでてくる。甘がわかるぞ!?

 

なんだ。トッポギとは。トッポギがわからなくなってきた。

想い出の中で辛さが過剰に演出されたのだろうか?

とにかくこのトッポギなら全部食べれそうだ。辛いけどチャミスルがいい感じにあって美味い。辛い甘い美味いのトッポギだ。

 

 

チャミスルをゆっくり味わいながらトッポギをつまむ。

ミナミで食べた韓国焼肉店のトッポギはどうしてあんなに辛かったのか。本当は辛くなくて、僕が大人になったからなのか?わからないが、あの日の想い出は素敵だ。不思議とまた食べたくなったが夢かもしれない。あんなに辛いトッポギは存在しないのでは?

 

 

辛いトッポギは今は甘辛い。ホロロときそうになったがチャミスルで誤魔化した。

 

 

 

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